第2章 今日の猫来井さん③
猫本さんは、猫宮さんの身体も綺麗に拭き上げると、満足したように微笑んで帰っていかれました。
私はただ、呆然とその後姿を見送っていたのでした…
「ま…またこのようなことに…」
猫野さんの家で二度あのようなことがあったから、最大限気をつけていたのに…
といっても、家政婦なのですから限度がありますが…
「あっ…お買い物っ…」
ダイニングテーブルの上に、買い物をしたものがっ…
「あああ…あああ…」
どうしようっ…
食材を手に取るとくんくんと臭いで確認をします。
「だいじょうぶ…かな…?」
幸い、今日はあまり暖かい日ではなかったので、アイスクリーム以外は無事でございました…
「よかったぁ…」
溶けたアイスクリームはしょうがないですから、全部まとめてボウルに入れて、溶かしきってあとで小分けにしましょう。
猫宮さんが寝ていらっしゃるので、キッチンで一週間分のおかずを作っておりますと、昼過ぎに猫宮さんが起きていらっしゃいました。
「猫来井さん…」
ちょっと申し訳無さそうな顔をしているのが、大変可愛らしく感じました。
頭の上の大きな耳は、後ろにぺたっと寝ております。
…もう…そんな顔をされたら、怒るに怒れません…