第13章 BOY【N side】EP.6
両腕を引っ張られて起こされた。
「ふふ…よく似合う。やっぱ、ニノちゃんは高校生なんだねえ…」
「うっさいな…」
立ち上がると、雅紀の胸に飛び込んだ。
「…どしたの…?」
「…なんでもない…」
松本…吐いてた。
なんで…?
なにが、あんなに苦しかったのかな。
ゲイだから?
ゲイだって認められないから?
「智が待ってるよ。行こ?」
「…うん…」
ぎゅっと雅紀が抱きしめてくれて。
シャツ越しに頬に伝わってくる体温と雅紀の匂いで、酷く安心した。
「ねえ…雅紀…」
「ん…?」
「俺って、ゲイなの…?」
「んー…まあ、そうじゃないの?」
「そう…なんだ…」
雅紀が体を離して、俺の顔を覗き込んだ。
くしゃっと笑うと、つんと俺の鼻の頭を突いた。
「そんなの、関係ある?」
ふふっと笑うと、俺の手を取って歩き出した。
「だって、ニノちゃんはニノちゃんじゃん?別にそんな区別いらないでしょ」
「そう…?」
でも、アテナはゲイ向けの「夢のある」イメージビデオを作ってて。
智も、雅紀も恋愛対象は男じゃん。
美しいと思うのも、チンコ勃つのも男じゃん。
「俺が好きなのは、ニノちゃんっていう人間で。男だからっていうんじゃないよ?」