第13章 BOY【N side】EP.6
「えっ…だって制服、実家に…」
「…まあ、いいじゃねえか。新入生みたいで萌える」
なに。今の間。
「智…」
「ほら、着てみろよ。サイズ、ぴったりだろ?もう背伸びないだろ?」
「ちょ、智…それ気の毒だから…」
げしっと雅紀のケツを蹴っ飛ばしておいた。
「なぁんでだよっ!?」
「やーい。怒られてやんの」
「智のせいだろおっ」
もしかして…実家、俺の制服売っちゃったのかな…
あんなのお金になると思わないけど。
この前から、智と雅紀が交互に俺の実家に行ってくれて。
俺の親と、いろいろ話してくれてるみたいだった。
俺の学校とかのこととか…借金のこととか…
聞いてみたけど、俺には難しくてわからないからってはぐらかされて。なんにも聞かせてもらっていない。
しばらく実家にも行くなって言われてるから、アテナのバイトだけして日々を過ごしてる。
去年までの生活が嘘みたいに穏やかで。
ここに来てすぐ。
一ヶ月ほど、自由に過ごせって言われたんだけどさ。
すぐに働くって言ってたのにさ。
いざ自由になったら、俺…寝込んじゃったんだよね。
熱出してんの。笑っちゃう。
なに、俺ってナイーブ?
嘘でしょって感じだった。
自分ではわかってなかったけど…
相当、なんていうの…
参ってた…?
疲れてた…?
みたいだった。