第12章 BOY【M side】EP.5
「う…」
勝手に、なに泣いてるんだよ
「う…ぇ…う…」
ボロボロ…なんで涙出てくるんだよ
「うう…」
だれか
たすけて
だれでもいい
たすけて
俺は何
なんなの
なんのために
生きてるの
なんでケツで感じるの
なんで男にヤラれて感じるの
おかしい
頭おかしい
俺、男なのに
男なのに
男だったのに
気がついたら、湿った空気の暗い場所にいた。
周りを見たら、裸の男が大量にウロウロしてる。
サウナ…?
なんだろう。ここ。
誰かに連れてこられたみたいだけど、手首にバーコードのついたチープなバンドが巻きつけてあるだけで、荷物もなんにも持ってなかった。そして、俺も裸。そこいらをウロウロしてる男と同じ、素っ裸だった。
荷物の中には、スマホ…バイト代の入った通帳…
あれを持っていかれたら、生きていけない
細胞のシナプスが突然繋がったように、思考がそこまで飛んだ。
なんでか、わからないけど…
あの大男のオカマのこと思い出した。
”自分の価値は、自分で決める”
価値って、他人が決めるものだと思ってた。
他人からの評価が…だって、学校の成績だってそうだろ?
先生が成績つける。
他人からの評価しか、評価されることしか
俺は知らなかった
自分で価値を決めていいだなんて
誰も今まで教えてくれなかったんだから