第12章 BOY【M side】EP.5
大男のオカマは、俺の腕を乱暴に掴んだ。
そのまま強引に俺を引きずるように歩き出した。
「痛えなっ…離せよっ…」
「何があったかしらないけど…糞坊主…」
別人のような、地を這うような低い声だった。
「自分が傷ついてるからって、平気で人を傷つけるクズに私を馬鹿にされる謂れはない」
ギリっと掴まれた腕を捻られた。
「痛えよっ…離せっ…」
「覚えておけ。自分の口から出たその言葉、そのままテメエに還るんだからな…」
「うるせーんだよ…俺がどうなろうと、アンタには関係ないだろ!?」
「…ならなんで、そんな顔して歩いてるんだよ。泣いた顔を隠しもせず歩いてるんだよ。構って欲しいんだろ?傷ついてます、慰めてくださいって言って歩いてるんだろ?」
「違うっ…」
「…みっともねえ…」
ああ…そうだよ
俺はみっともないんだよ
強姦されたくせに感じて
強姦されてるくせにイキまくって
一万円の価値しかない
親にだって汚物みるような目で見られて
みっともないんだ
「あんただって、みっともないじゃないか…そんな格好して…全然似合ってない。気持ち悪い。女になんかなれねーだろうが…」
「そんなことわかってる。わかってて、アタシはこの服が着たいし、この髪型がしたいし、メイクだってしたい。したいからこうしてる。人にどう見られてるかなんて、関係ないの。アンタと違って」