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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第12章 BOY【M side】EP.5







2年の冬。
学校を退学した。

なんかなにもかもどうでも良くなって。
部屋から出ることができなくなってた。

だって、外に出るとアイツが来る。
俺のこと、仲間に金で売るアイツが来る。

父さんも母さんも泣いた。
姉ちゃんも泣いてた。

すごいな
なんで泣けるの?

俺なんかのために
なんで泣くの?

「…潤、何があったの…?お願い、母さんに話して?」
「潤、何があっても父さんはおまえの味方だから…」
「姉ちゃんになら、話せない…?潤、なにがあったの?」

何って…
別に、なんにもないよ

わかったことがあっただけで



俺は一万円の価値しかないこと


あんなことされて感じる、薄汚いゲイだってこと



ただ、それだけ




「それは…本当なのか」



父さんの目が、汚いものを見る目だった。
その瞬間、松本の家の息子は死んだ。

一万円の価値しかない俺は、死んだんだ。


深夜、一番大きいバッグに入るだけの荷物を詰めて。
家から逃げた。

どこにいくって、宛はなかった。

スマホ、いつまで使えるだろう。
親が解約しちゃったら、使えなくなるな。

ぼんやりと、そんなことばかり考えて歩いた。

歩きながら、何度も二宮の連絡先を表示させて。

タップしようとしては諦めて。


そうして歩いているうちに、視界がぼやけて



何も
見えなくなった
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