第12章 BOY【M side】EP.5
「なに…言って…」
「来いよ」
ぐいっと腕を引き寄せられて、耳元で男は囁いた。
「前は初めてだって知らなかったからさ…でも、良かったんだろ?今日はもっと気持ちよくしてやるから…」
知らない
俺は
そんなの知らない
「嫌だぁっ…嫌っ…」
「大人しくしろよ…」
男の部屋に連れ込まれて。
饐えた臭いのするベッドに押し倒されて。
制服のズボンだけ、毟り取るように脱がされて。
四つん這いにさせられて、むき出しのケツの穴に男が執拗になんかしてくるのが、気持ち悪くてしょうがなかった。
「いいのかよ、そんな態度でさ。言いふらしてやって、学校行けなくなってもいいのかよ?」
「や…だぁ…やめて…」
逃げ出したいのに。
ぶん殴って逃げればいいのに。
なのにできなかった。
言いふらされて、自分がホモだって思われるのなんて…そんなこと、耐えられるはずもなかった。
どうしても、この男に触れられるのは嫌なのに。
絶対に嫌なのに。
「あっ…」
びくっと勝手に身体が反応してしまう。
「くく…な?じっくりやれば、気持ちいいだろ…?忘れらんなかったんだろ…?」
「違う…違うっ…嫌だぁっ…」
涙が出てくる。
なんで、俺の身体は俺の言うこと聞かないんだ。