第12章 BOY【M side】EP.5
「なにしてんの…君?」
知らない男の人だった。
「いえ…なんでもないです」
踵を返そうとして、よろけた。
「ああ…酔っ払ってるの…大丈夫?」
ぐらりと、いきなり酒が回った。
視界がグラグラして、真っすぐ立ってることができなかった。
「へえ…可愛い顔してるね…君…」
男の手が俺の腰に回された。
「こんなところじゃ何だから…俺の部屋、来る?」
それから起こったことは、思い出したくない
新学期、学校に行ってみると二宮はいなかった。
痛む身体を引きずって、教室に行ったのに…
二宮はついにその日、姿を見せることはなかった。
でもそれでよかったのかもしれない。
二宮の顔をみたら、怒鳴りつけそうだった。
”おまえのせいで俺はあんな目に遭った”
そう言ったって、二宮には何のことだかわからないだろう。
でも…
なんであんな所に居たのか、知りたかった。
あそこは、新宿2丁目…
有名なハッテン場ってとこに近いところにあるお店で…
俺をレイプした男が、教えてくれた。
てっきりゲイだって勘違いしたって
あんな所に立ってるおまえが悪いって
そう言われた