第12章 BOY【M side】EP.5
こんなところで、何をやってるんだろう。
教室で見るよりも、柔らかい空気を纏っていた。
暫く歩くと、二宮に近づいてくる人があった。
声をかけられると、二宮はにっこり笑ってその男性を見上げた。
一言二言喋ると、いきなり二宮はその男性の腰に腕を回した。
「えっ…」
まるで、恋人同士みたいに二人は寄り添った。
酔っ払ってるから、幻覚でも見てるのかと思った。
でも何度目を凝らしても、あれは二宮だった。
時々顔を上げて、キスをねだるように男性に顔を近づける。
男性はニタニタしながら、軽くキスをするとまた二人は前を向いて歩きだす。
「え…どういうこと…?」
頭が混乱する。
一体、何が起こってるんだ?
気がついたら、周りは明るくなっていた。
人通りの多い所に出ていた。
二人はどんどん明るい方向に歩いていく。
待ってくれ…二宮…
おまえ、一体何してんだよ…
こんなこと、してなんになる。
だけど、俺はやめられなかった。
二宮と男性の後をずっとついていった。
そのまま、二宮と男性は地下のお店に消えていった。
俺はと言うと、そこで立ち尽くすしかなかった。
一緒に店に入るわけにもいかない。
その場で暫く突っ立っていたら、誰かが後ろに立った。