第11章 BOY【S side】EP.4
「翔…?」
松本さんが俺のジャケットに手を掛けようとして、振りほどいてしまった。
「あ…ごめんなさい…」
まだ、出会って数分だけど…
俺が貧乏だからって、この人は軽蔑なんかしない。
俺が身体を売ってるからって、この人は軽蔑なんかしない。
と、思う…
わかってるのに、ほんの少し残ったプライドが、素直に行動できなくする。
「…嫌、だった…?」
「違う…違うんです…」
身体は嫌というほど昂ぶってる。
なのに…
「ほんとに…?」
「はい…」
慌てて、サイズの合ってないジャケットを脱ぎ捨てた。
シャツのボタンに手をかけようとしたら、松本さんの手が伸びてきて、それを止めた。
「無理しなくていい」
「違う…無理なんかじゃ…」
どうしていいかわからなくなって。
握られた手を、握り返した。
そして、ゆっくりとその手を自分の股間に触れさせた。
「あ…」
「だから、嫌じゃ…ない…」
「翔…」
きゅっと、その手が俺を握りしめた。
「ぁっ…」
「…嬉しいな…翔のココ…こんなになってるのは、俺のせいだね?」
「うん…」
顔が勝手に赤くなって…汗まで出てきた。
「急ぎすぎたかな…ごめんね…?」