• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第11章 BOY【S side】EP.4


エレベーターに乗り込むと、ロビーのざわめきが一瞬消えた。
代わりにクラッシックのBGMが穏やかに、箱の中を満たしてる。

「翔…こっち向いて…?」

顔を松本さんのほうに向けると、唇が近づいてきた。

「あ…」

誰も一緒に乗ってないけど、こんなとこでキスを求められたのは初めてだった。

「ふ…かわいい…真っ赤になって…」
「だって…こんなとこで、キス…」
「大丈夫…誰も見てない…」

だって…監視カメラ…

そう思ったけど、松本さんの赤い唇が近づいてきたら、抵抗できなかった。

見た目以上に、柔らかくて肉厚な唇が俺の頬にくっついた。

「え…?」
「ココ…は、部屋までとっておこう」

俺の唇に人差し指を当てると、ふふっと微笑んだ。

誂われてるのかな…
でも、不思議と怒りは湧いてこなくて。

それどころか、今ここで…貪るようなキスが欲しいと思った。

松本さんの肩に頭をつけると、そっと肩を引き寄せてくれた。

「ほんとに…今日、君と一緒に居られるなんて…嬉しいよ…」

俺も…嬉しい。

金で買われてるってわかってる。
わかってるけど…

こんなに優しく俺のこと見てくれる人、初めてだ。

胸の奥が、暖かい。

/ 831ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp