第10章 もっと♡にゃんこわんこ
むずかしいおはなしだから、ぼくにはなんのことだかわからない。
でも、翔がぼくたちをおいていかないってことはわかった。
だけど…かずはまた怒ったかおしてる。
「なんで…?」
「かず…?どうしたの?」
あいばせんせいも、かずの怒ったかおに気づいた。
「翔はお仕事いっつも楽しそうに行ってた!なのになんでそんなこというの!?」
「かず…ちょっと落ち着けよ…」
まつもとさんが立ち上がって、翔のかたに手をおいた。
「翔くん、ソファ座りなよ」
「え…」
「いいから。顔色悪いから」
「うん…」
まつもとさんの座ってたとこに、翔が座った。
ぼくは翔のおなかにだきついた。
「さとし…」
「しょう、ごめんね?ぼく、なんのおはなしだかわからない…」
「ああ…すまん…」
翔、かなしい。
かなしいかおしてる。
なんにもうれしいことない。
だからぼくもかなしい。
「かず…思ってること、言ってみな?」
まつもとさんが、かずの背中をなでながらはなしかけてる。
「今、言っておきなよ。全部、思ってること…」
「…でも…」
かずの耳がぺたんってした。
しっぽもくたって、床に向いてさがっちゃった。