第10章 もっと♡にゃんこわんこ
「かず…かず、聞いて…」
「いやっ…」
翔はそっとかずの背中に手をおいた。
「ごめんな…誤解させて。俺はおまえたちをどこにもやる気はないよ?」
「翔ちゃん…」
「ただ、やっぱり仕事に未練があって。だからどうにかできないか考えてたんだけどさ…でも、俺にはおまえたちがいるから、この話は断るんだよ?」
「それでいいの?翔くん」
松本さんがぼくの肩を抱きながら、翔に聞いた。
「ああ…この話を断ったら、職場で俺の居場所もなくなるしな…だから、迷ってたんだけど…仕事も辞めるんだ」
「えっ…ほんとに…?」
あいばせんせいがびっくりした顔で、体をおこした。
一緒に、かずも顔を上げた。
泣いてるから真っ赤な顔になってる。
「新人の頃から積み上げてきたもの、捨てるの…?」
またまつもとさんがこわいかおになった。
「まあ…実際、俺にはちょっと荷が重い仕事ではあったんだ。海外の太いパイプがある、もうちょっと上の方の人が行ったほうが、多分順調に流れるんだよね。俺みたいなペーペーに行かせるのは、俺自身の修行みたいなもんなんだけどさ…」
「だから…断ったら、会社で居場所がなくなるってわけか…」
「まあ、そういうこと」