第10章 もっと♡にゃんこわんこ
きゅうーん…
きゅうーん…
ここはどこ…?
みたことないみち
こわい
かいだことのないにおい
ここはどこ…?
どうしてぼくは
はこにはいってるの?
おかあさん
どこ?
にんげん
どこ?
どうして
ぼくは
はこにはいって
ひとりなの?
「もう…捨てられるのはいやだ」
ぼろぼろとかずはなみだをこぼした。
翔をにらみつけたまま…
「ひとりになりたくないっ…」
「かず…」
かずはまたあいばせんせいに抱きついた。
「今日僕のお誕生日なのにっ…」
まつもとさんがぼくを抱っこしたままがばっと、体を起こした。
「えっ!?まじかよ」
そう言ってカレンダーを見上げた。
「6月17日…もう…早く言えよ…かず…」
かずはいやいやって首を振った。
「うそ…そうだったんだ…ちょっと、かず…?顔、上げて?」
あいばせんせいが必死にかずに話しかけるけど、かずはまたぎゅうって抱きついて顔をあげなかった。
「…もしかして…みんなでお祝いしてほしかったの…?」
「しらないっ…」
翔が立ったまま、かずの背中に手をあてた。
「…どうして今まで言わなかったんだよ…俺ですら知らなかったじゃねえか…」
「しらないっ…翔なんか知らないっ…」