第10章 もっと♡にゃんこわんこ
からになったコップを翔に手渡すと、あいばせんせいはかずにお水を飲ませようとした。
でもかずはかおをあいばせんせにくっつけたままで、上げなかった。
「かずぅ…」
またぼくの目になみだがたまった。
どうして…
かずはどうしておはなししてくれないの?
どうしてお水飲まないの?
どうして…?
「あっ…さ、さとし…」
慌ててまつもとさんがぼくをだっこしてくれた。
「大丈夫だから…な…?」
「にゃぁう…」
かず…かず…
なんでそんなに泣いてるの…?
なんで…?
おしえて
ぼくにおしえて
「ごめん…かず…」
ずっと、立ったままだった翔が、ぽつりと呟いた。
「俺は…」
「もういいっ…!」
突然かずが、起き上がった。
いままでみたことない怖い顔で、翔をにらんだ。
「僕、松本さん家の子になる!」
「なに言ってんだよ!?」
「だってさっき、俺の家に来ないかって言ったもん!松本さん家行く!」
「なんでだよ!どうしてそうなるんだよ!」
「だって翔、僕とさとしを捨てるんでしょ!?もういらないんでしょ!?外国行くんでしょ!?」
「だから…かず、聞いて?」
「いやっ…もういやっ…捨てられるのはもういやっ…」
「かず…」