第10章 もっと♡にゃんこわんこ
翔のおうちにつくまで、くるまの中は誰も喋らなかった。
かずはあいばせんせいに抱きついたままで、ぼくのおかおまで見てくれなくなった。
「みゃ…みゃぁん…」
「ちょ!?さとし!?」
抱っこしてくれてるまつもとさんが、焦ってぼくの顔をみた。
「なんで今頃、泣いてんの!?」
「だってぇぇ…かずがぼくのおかお見ないぃ~…」
「ああ…」
「かず、翔だけじゃなくて、ぼくのことも嫌いになったんだぁ…」
「いやいや、違うから…違うってば…な?」
「びにゃぁぁぁぁ…」
「あーあ…もう…鼻水垂らしてるぅ…」
ティッシュでぼくのおかお、ぎゅうぎゅう拭いてくる。
「いたいいいい…」
「ああ…ごめんな?もう…翔くん!早く!」
「あ、ああ…」
くるまのスピードがぐんって上がった。
翔のおうちについたら、がっしりとかずとぼくは抱っこされて家に入った。
「もう、逃げるんじゃないよ?かず…」
あいばせんせいが、優しく抱っこしてるかずに言ってるけど…
かずはもう、うんともすんとも言わないで、ぎゅうってあいばせんせいに抱きついてる。
「翔ちゃん。なんか飲むものちょうだい?俺もう、喉乾いて…」
「俺も、頼むわ」
「あ、ああ…ちょっと待っててな?」