第10章 もっと♡にゃんこわんこ
遠くからぶるるんって車のえんじんの音が聞こえて。
ライトが見えたと思ったら、翔のくるまが見えた。
じんじゃの階段の前でぴたっと車はとまった。
「かずっ!」
翔がくるまから飛び出してきた。
かずは、あいばせんせいに抱きついたまま、かおだけ翔に向けた。
「がるる!」
「かず…」
「お、おいぃ…」
あいばせんせいはびっくりのかおになった。
「がるる!がるる!」
「ちょ、かず…そんな怒るなって…」
あいばせんせいがかずを抱っこしたまま、困った顔してる。
「かず…ごめんな…?家、帰ろ…?」
翔が泣きそうな顔をして、かずに手を差し出した。
「いやっ…翔、捨てる!僕とさとしのこと捨てる!いやっ…」
「捨てない…捨てないから…かず…」
「いやっ…いやっ…」
翔のかおも見ないで、あいばせんせいにぎゅうって抱きついて、おかお隠しちゃった。
「かず…?翔ちゃんのお話、聞いてあげて…?」
また、トントンとあいばせんせいはかずの背中を叩いた。
「翔くん、とりあえず家に戻ろ?それから話ししようよ?な?」
まつもとさんがぼくの手を握って立ち上がった。
「さとしがどうしていいかわかんないって顔してるからさ…戻ろうよ?」
「ああ…」
翔はぼくの顔をみると、くしゃっと顔をゆがませた。