第10章 もっと♡にゃんこわんこ
「かず…」
まつもとさんが近づいてきた。
ぼくとかずの頭をなでなですると、ちょっとかがんでかずのかおを覗き込んだ。
「翔くんのとこ、帰ろ?」
「…やだ…」
「泣いてたぞ?翔くん…」
「え…?」
「ちゃんと話し聞いてやれよ…な?」
かずはそれから泣くこともせずに、黙り込んじゃった。
あいばせんせいが戻ってきて、じんじゃの階段の下まで翔が迎えにくるから、降りようっていって。
4人でじんじゃの階段を降りた。
翔のくるまが来るまで、階段に座って待っていた。
「よかった。かず、走ると車にぶつかるからね?夜だし、人間には犬みたいに夜の闇は見えないんだからね?」
「…うん…」
まだちょっとかずは、くんくんって鼻を鳴らしてて。
あいばせんせいはかずを抱っこして、背中をぽんぽんと叩いた。
「…ショックだったんだね…かず…」
「あいばか…」
「こら。ばかばか言うな…」
ぐじゅぐじゅと、あいばせんせいの服に顔をこすりつけた。
「…おまえ鼻水つけただろ…」
「しらないっ」
かずはそのままぎゅうってあいばせんせいに抱きついた。
「しょおがねえなあ…」
あいばせんせいは苦笑いすると、ぎゅうっとかずを抱きしめた。