第10章 もっと♡にゃんこわんこ
「おい!さとし!居たのか?」
「さとし、お返事して?」
あいばせんせいとまつもとさんが、やっと追いついてきた。
ぴかっと、かいちゅうでんとうがかみさまの家を照らした。
「かずっ!」
かずが顔を上げた。
「さとし…」
「かず…ひとりで泣かないで?」
「うぇぇ…さとしぃ…」
かずが耳をぺたんとして。
ぼくに抱きついてきた。
「かず…」
「さとしぃ…」
ゆっくりと光が、ぼくとかずを照らした。
「ああ…よかった。かず、居たよ…」
「ちょっと、翔ちゃんに電話して車で迎えに来てもらおう」
「うん、そうしてくれる?」
あいばせんせいは来た道をもどっていった。
まつもとさんは、黙ってぼくとかずを照らしている。
「かず…もお…ひとりでどっかいっちゃいやだからね…?」
「だって…翔が…」
「ぼく…おはなしよくわからなかった…でめきんどうしたの…?」
「だから…金魚じゃないの…」
ぐずぐずきゅんきゅん…
かずは黙っちゃった。
「ごめんね…?ぼくおばかだからよくわからないの…」
「ううん…ごめんね…まださとしは知らないこといっぱいだもんね…」
かずのほうがずいぶんお兄ちゃんだから、何でも知ってる。
だから、今日の翔のおはなしだってわかったんだ。