第10章 もっと♡にゃんこわんこ
風もないし雨もふってないから、かずの匂いはまだ残ってる。
くんくんしながら、道路を進んでいく。
「…結構来たな…」
まつもとさんは、ぼくを通り越して遠くを照らしてる。
「かず、どうしたんだろ…」
あいばせんせいは、道のはじっこを照らしながら歩いてる。
「さあ…でも、なんかわかる気はする」
ぼくはくんくんするのに忙しいから、ふたりが喋ってるのを聞いてた。
「置いていかれるって…思ったんじゃないかな…」
「ああ…そういうこと…」
ふうっとあいばせんせいはため息をついた。
「そんなわけないのに…翔ちゃんがかずやさとしを捨てるわけないのに…」
「え?ぼくたち、捨てられるの?」
「ああ…だから違うって、さとし。翔ちゃんがそんなことするわけないでしょ?」
「でも…かずはそう思っちゃったってこと?」
「そう、だろうねぇ…」
ぽんぽんとまつもとさんがぼくの頭をなでてくれた。
「まつもとしゃん…かず、泣いてる…」
「…おう…だろうなあ…」
まつもとさんまで泣きそうなかおになった。
「かずかなしい…かなしいかおしてた…」
「うん…早く、見つけてやろ?さとし」
「うんっ…」
ぱたぱた、はしりだした。