第2章 今日の猫来井さん③
先程わたくしに見せた小さな袋から、さらさらと粉を手のひらに出します。
「さ、ひとつまみ…」
猫本さんが私と猫宮さんの体の上に、ふんわりと粉末を掛けました。
「ふにゃぁん…」
猫宮さんの満足そうな声が寝室に響きます。
あああ…これはいけません…
とっても純度が濃い、高級またたびの匂いが私の頭をぼうっとさせます。
「いけ…いけませんっ…」
我慢しようにも、息をすればまたたびの香りが…
「いけ…にゃぁい…」
もう…だめだぁ…
「ふにゃ…」
クタリと身体から力が抜けてしまいました。
「ふふ…凄えな…ふたりとも、またたびに弱い体質なんだね…」
猫本さんの手が、私の身体をさらりとなで上げます。
「にゃっ…ぁ…」
「凄え…瞬殺…」
ゴクリとつばを飲み込む音が聞こえました。
「猫潤…ねえ…ぼくも触って…?」
「ん?ああ…おまえもかわいいな…ホント…」
にやりと笑うと、アビの細いしっぽをするりと手で滑らせました。
「ふ…あ…きもちい…」
「ふふ…和、ほんと…またたびしてるときが一番かわいい…」
とろけそうな顔で、猫本さんが猫宮さんを抱きしめます。
それを遠い意識で感じながら、私はだんだんと現世から意識が遠ざかっていきました…
ああ…まっしろ…