第9章 からふるどろっぷすす from ドラジェ ─dragee─
「あんな才能見せつけられたら…俺…」
ぐすっとニノは鼻を啜った。
「えっ…ニノちゃん…?泣いてるの?」
「泣いてないっ…」
でも雅紀の手はティッシュボックスに掛かってて。
すっとそれをニノの前に差し出した。
「…我慢してなくていいんだよ…?」
無駄に優しい。
でも、女はこういうのに弱い。
そしてニノはメスだ。
だからこういうのに弱い。
「ばっ…ばかぁ…」
ちょっとだけグズグズと泣くと、ティッシュを取った。
ぶびーっと鼻をかむと、上を向いた。
「最初は…ちょっとした、いたずら心だったのに…」
「へ?」
智が、ちょっと何を言ってるのかわかりませんの顔で俺を見た。
だから見るな。
「俺、タチなんて本当は興味なかったけど…でも、俺よりも才能あるんだから嫉妬…っていうの…?」
「お…おお…」
わけがわからないながらも、雅紀は優しいからちゃんと相槌を打つ。
「だから、一回だけ挿れてみようって…思ったら…」
またティッシュを取って、ぶびーっと鼻をかんだ。
「…めっちゃ…よかった…」
「えっ…ええっ…!?」
「そんなに…!?」
雅紀と智は身を乗り出した。
「あんなに…気持ちよかったの…初めてかも…」