第9章 からふるどろっぷすす from ドラジェ ─dragee─
「もー…うるさいなあ…」
ニノがきまり悪そうに、おばあちゃんのポタポタ焼きを手にとって、袋を破った。
バリッと一口噛むと、モゴモゴして黙秘権行使。
この野郎…すっとぼけるつもりだな。
「俺、聞きたいなあ…ネコ専門のニノが…タチになった瞬間」
そっと耳元で囁いたら、もぐもぐしながら睨まれた。
「俺もっ俺も聞きたいっ!そういうの興味あるう!」
「えー?雅紀が聞いてどうするのさ?ネコになんの?」
「なんねーよ!俺、痔主だもん!」
「うわあ…」
智がドン引きしてる隙きに、またニノはぽたぽた焼に齧りついた。
ボリボリといい音が聞こえてくる。
「いぼ痔?切れ痔?それとも…脱肛…?」
「脱肛なんかしたことねーわ!怖いわっ内臓飛び出してくるなんてっ!」
「えー…俺らしょっちゅうだけどね?」
「そら、ネコの人はそうだろうけどって…ちがーう!ニノちゃんの話しっ!」
天然コンビが盛り上がっているから、ニノは油断してたらしい。
突然話を振られて、むせた。
「ぅごっ…ごふっ…」
「お、おい…大丈夫かよ…」
慌てて俺が飲んでる途中のお茶を差し出すと、涙目で飲んだ。
「ばっ…ばかじゃないの!?あんたなんか、痔瘻(じろう)になってしまえばいい!」
「えっ…えええ!?ひどおい…ニノちゃん…」
本気で酷いと俺も思う。