第9章 からふるどろっぷすす from ドラジェ ─dragee─
「で…?翔さん…」
ニノが身体をこちらに向けて座り直した。
「翔さんの最近のいいお客さんは?」
「はあ?」
「俺、聞きたいなあ…?」
ニタリと嫌な笑い方をした。
…多分、この中で、すべての事態を把握しているのは、ニノと俺だけだ。
ここにいる全員が、松本潤を掘ったってね。
「えー…そんなこと言ったって…」
言ったらバレるじゃねえか…
せっかく天然からかっておもしれーのに←性格悪い
「おまえは?ニノ」
「えっ?」
「上玉、当たったんだろ?教えろよ」
こんなときは、質問返しに限る。
答えたくないときは、同じ質問を返してやればいい。
「えー…でもお…」
ちらっと、雅紀と智の方を見る。
ふたりは興味津々でこっちを見てた。
「言うほどのことじゃ…」
「童貞捨てたんだろ?」
「えっ…!?」
俺は知っている。
ニノは、ずっとネコだから…この仕事はじめてもずっとネコで、タチの経験はないんだ。
だから、童貞だったんだよな。
ちっとも、入れる方には興味湧かないってって言ってたのに。
でも、この前…松本潤を抱いたから、童貞卒業したはず。
「えーっ!?ニノって童貞だったの!?」
「まじで!?まじで!?一回もタチしたことないの!?」
すごい勢いで、天然コンビが食いついてきた。