第9章 からふるどろっぷすす from ドラジェ ─dragee─
「ねっ…ねえ、みんなは最近どんなお客さんに当たったの?」
雅紀はよっぽどニノが怖かったのか、自分の話をやめてしまった。
「えー…智、なんかないの?」
「えー…?俺ぇ?」
ニノが智の方を見る。
智は突っ伏していたが、組んだ腕の上に顎を乗せた。
でも、もそっと右手をおろした。
「あっ…またちんこ触んなよ!?」
「えー?だめ?」
ニノがベシっと下に降りてる智の手を叩いた。
「いたあい…」
「はいっ、手、上げてっ!」
「えー…もおお…早くセックスぅ…」
「やかましい!」
智の手をテーブルの上に乗せると、ポンポンと頭を撫でた。
「ほおんとあんたは…この職業、天職なのねえ…」
「えへへ…」
えへへじゃねえぞ。
どうすんだよ将来…
セックスで稼いでたら、ケツ穴がバカになんぞ…
人工肛門になっちまったら、一生セックスできねえだろ。
「俺…出会っちゃった…」
「え?なになに?」
雅紀が身を乗り出して、一緒に机に突っ伏して智の顔を見た。
「運命かも…すっごいさあ…可愛いの」
「えっ?智、ネコでしょ?」
「ネコだけどお…ネコが可愛いの」
「は、はあ?」
さすがの天然雅紀も敵わないようだ。
でもニノと俺は目を合わせると、肩を竦めた。
誰のことを言っているのか、わかった気がする。