第9章 からふるどろっぷすす from ドラジェ ─dragee─
「えー?どんなどんな?」
「なんかさあ…あ、これ言っちゃいけないヤツだった!」
雅紀は焦った顔でお口にチャックした。
「いーじゃん。どうせここ今いる人しか聞いてないんだし…」
「そーだよお。言ってよお。相葉ちゃん!」
「えー…?でもなあ…」
全員の顔を見渡すと、チラッと事務所のドアのほうを見た。
「秘密だからね?」
そう言うと小さな声で喋りだした。
「なんかあ…あ、まあ職業は伏せるけども、有名人でさ」
これはよくある話だ。
職業のイメージがあるから、ネットで相手を探すことや二丁目はおろかハッテン場なんて絶対行けない人も居て。
恋人を作ることができなくて、こういうとこに依頼してくる有名人の隠れゲイは多い。
「なんかさ。全然イメージと違ってさ…すっごい可愛くてぇ…」
なんて、でれっとした顔をしてる。
相当上玉のネコに当たったんだろう。
「最初はさぁ…なんか俺のこと掘りたいとか言うわけよ」
「ふうん…」
「へえ…」
智とニノがおかしな顔をした。
「ん?どうかした?」
「ううん…なんでもない」
「ないない」
ニノはポーカーフェイスだが、ぶんぶんと首を横に振る智はバレバレで何かを隠してる。