第8章 遠別
ふたりで浴槽に浸かりながら笑ってたら、外からやけに景気のいい『グリーングリーン』が聞こえてきた。
「あっ…灯油やさん来た!」
君がジャバっと立ち上がった。
俺の顔の真正面に、君のブツ…
「おー…マグナム…」
君はガラッと風呂場の窓を開けた。
「灯油やさーん!ヤバいっ…行っちゃう!」
俺の目の前で、君のプリケツが踊っている…
この地域では、灯油の販売車が定期的に回ってくる。
石油を備蓄しておく大きなタンクが備え付けになっている戸建てが多いから、こうやって巡回してくるんだ。
うちみたいな小さな借家にまで付いてるから、びっくりする。
初めのうちはなんだかわからなくて。
外から聞こえてくる、やたらポップな爆音の童謡に怯えたもんだが…
「ちょっと捕まえてくる!」
君は窓をスパーンと閉めると、浴槽から出ていく。
「えっ…ちょ!風邪引くって!」
「平気!」
そう言って君は、風呂場を飛び出していった。
「だいじょおぶかよお…」
何も考えずに、本能で飛び出していったよ…
思わず苦笑いした。
「本当に…考えなしなんだからなあ…」
…だから、こんなとこまで…
ふたりで来てしまったんだ
「俺も大概…考えなし、か…」
独りごちて、立ち上がろうとした。
無理だった