第8章 遠別
布団の中でうーうー唸ってたら、君が洗面所から顔を出した。
「あ、起きた?おはよ」
「おはよ…ねえ、立てない」
「だろうね…」
クスクス笑いながら君はこちらに歩いてきた。
体に何も纏っていない、生まれたままの格好だった。
無駄な肉がどこにもついていない、靭やかな体躯に見とれてしまった。
「…なんで服着てないの…?」
「風呂入ろうと思って、準備してた」
「まだ入ってないの?」
「一緒に入ろうと思ったんだもん」
「風邪…引いちゃうよ…?」
布団まで歩いてきた君に腕を伸ばすと、君は跪いて体を俺の方に倒してくれた。
体を抱きしめると、冷たい。
「ほら…こんな冷えてる…」
「ふふ…大丈夫。すぐにお風呂入るから…」
その声が、ふわふわしあわせで…
ぎゅっと抱きしめようとしたら、電子レンジがチンと鳴った。
「あ、お腹空いたから、ブリトー温めてたんだ。食べよ?」
「ああ…ありがと…」
「食べたらすぐに風呂入ろうね」
俺の腕から離れていくと、まっすぐに電子レンジまで行って。
中から袋を取り出すと、あちちって言いながら摘んで持ってきた。
「開けてよ」
「って、おい!」
ぽいって、アチアチの袋を投げられて、受け取りそこねて腹に乗っかった。
「めっちゃ熱い!」
腹、やけどした。