第8章 遠別
翌朝起きたら、身体が言うことを聞かなかった。
腿は痛いし、膝には力が入らない。
おまけに起き上がろうとしたら、腰には激痛が走る。
「ど…どういうことだ…」
なんとか布団の中で寝返りを打って、腕の力で体を起こした。
起こした瞬間、布団の中から精液の濃い匂いが漂った。
昨日…ヤリ過ぎた…な…
「う…わ…」
布団のシーツが…見事に、精液でカピカピ…
身体もカピカピ…
なんだか知らないけど、髪の毛も…?
恐る恐る触ってみたら、ちょっとカピってた。
「もお…なんだよ…顔射でもされたか…?俺…」
なんとか起き上がって、部屋の中を見渡した。
昨晩は吹雪だったから、窓から入ってくる光は、ごくごく鈍いもので。
まだ窓が凍りついているようだった。
薄暗い中、石油ストーブのオレンジの灯りが、やけにくっきりと見えた。
ストーブの上には、やかんが掛かってて。
小さくシューシューと音を出しながら、湯気を吐き出してる。
その向こうの小さな小さなキッチンでは、電子レンジがブウンと音を立てて稼働してるのが見える。
「…風呂かな…」
洗面所の向こうから、物音が聞こえてる。
こんだけカピカピだから、風呂に入ってしまったんだろう。
「俺も入れてくれよな…」
立てない…