第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「それがよくわからんのだ…気づいたらここに居て…この王子に保護されてな…?」
どうやら、あの横穴の崩落の時、櫻井教授は一番近くに居たらしく…
巻き込んで、古代まで一緒に連れて来てしまったらしい。
「大野…ここは…」
「はい…ああ…えっと…」
ど、どうしよう…
ジュンフィスたちがいるのに、どう説明したら…
「調べ甲斐があるなっ…!」
「えっ…?」
「俺は…俺はこの時代の謎を全て調べ尽くすぞおおお!」
「えっ…えっ…」
櫻井教授は、頭のネジが飛んでいったように興奮してる。
「…ということで、この者を、アッカドに連れて行くからな?」
「えっ…!?」
サクミル王子はニヤリとした。
やっぱり…なんか、昨日から意味深だと思っていたけど…
なんか企んでる…?
「俺と顔がそっくりだろう…?」
そう言うと、またニヤリと笑って。
櫻井教授を連れて、部屋を出ていった。
「じゃあ、またな!ジュンフィス」
「ああ…サクミル、気をつけて」
「シャトシも、またな!」
「えっ…うん…」
って、サクミル王子…またエジプトに来るつもりなの!?
にぎやかな人たちが出ていくと、部屋は静かになった。
「では、食事をお持ちしますね。ダーオカも一緒に…」
「はあい!」
マサスとダーオカが部屋を出ていった。