第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「シャトシ…」
ふわりとジュンフィスが俺を抱きしめた。
もう外はすっかりと日が落ちて。
真っ暗な外からは、何も音が聞こえてこない。
とても静かで…
「ジュンフィス…一体、どうなってるの…?」
「だから…これで全部終わったのだ。あの道具も封印したし、ニノシスの呪術ももう使えない。これで終わった」
「え…そう、なの…?」
でも…ニノシスは…
それに、サクミル王子も…なんか凄く意味深だったけど…
「大丈夫だ」
そうきっぱり言い切ると、起き上がってカウチを降りた。
ベンチの上に置いてあるツボを手に取ると、ニヤリと笑った。
「シャトシ…」
そのまま俺を抱き上げると、寝台まで運ばれて…
俺のこと座らせると、ジュンフィスも寝台の上に座り込んで。
しばらく俺の顔眺めていたかと思ったら、目を閉じた。
「あ…え…?」
ジュンフィスの顔が近づいてきた。
唇が重なる。
熱い唇…
ジュンフィスの唇だ…
「ジュンフィス…」
「ん…」
ジュンフィスの身体を引き寄せて、一層深く口付けた。
「うれ…しい…」
「ああ…」
こんな日が…来るなんて…
ぎゅっとジュンフィスの腕が俺を抱きしめる。
その体温がとても愛おしい。