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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


「…このジーチャンノワイパーがないと…ニノシスはなにもできない」
「えっ…へっ…!?」

それ…ただのワイパーじゃないの!?

「返せっ!ジーチャンノワイパー!」
「フンっ…!」

ジュンフィスは、そのワイパーをバキッと折り曲げてしまった。

「ああああっ!なんてことをっ…ジュンフィスっ…」

さらにバキっ…バキっ…とジュンフィスは、ワイパーを壊していく。

「…これで…もう、妙な術も使えまい…」
「なんてことを…なんてことを…ジーチャンノワイパー…」

ガクリとニノシスは、床に膝をついた。

「…もういいであろう…?ニノシス…」

サクミル王子が優しく、ニノシスの肩に手を掛けた。

「うるさいっ…おまえに何がわかるっ…」

その手を払いのけると、ニノシスは床に突っ伏して泣き出した。

「私はジュンフィスのために…生きてきたのにっ…」

胸が突き刺されたようだった。
ニノシスも…俺と同じ思いを…

サクミル王子はため息をつくと、立ち上がった。
ひょいっとニノシスを肩に担ぎ上げると、俺に向かってウィンクした。

それから、ジュンフィスをじっと見つめた。

「…約束は果たしたからな…?わかってるな?」
「ああ…わかっている」
「じゃあな」

呆然としている俺たちを残して、サクミル王子はニノシスを連れて部屋を出ていった。

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