第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「シャトシの住む世界では、そうではないのだろう?」
「え…うん…」
いいのかなあ…
ファラオがこんなこと悟っちゃって…
歴史、変わってしまわないのかな?
「だから、姉上も…ニノシスも、復活しないから、あのような力を得たのだ」
「…そうなの…?」
「俺も…だから…力を得たのだ」
「へ…?」
どういうことなんだろう…
「シャトシにもう一度…もう一度会いたいと…そう願ううち、ニノシスと同じ力を得たとしたら…?」
「あっ…」
俺に…会いたいという願いで…
「…本当に…?」
「ああ…」
「ジュンフィス…」
胸がまた、いっぱいになった。
そんなに俺のこと…
「あの場所…あの聖なる場所に…シャトシの世界のあの場所に、術を施しておいたのだ…」
ぽろっとこぼれた涙を、ジュンフィスの手が拭っていく。
「残念ながら…シャトシのいる場所まで行くことはできなかったがな…力がまだ…足りなかった…」
「うん…うん…」
「でもシャトシは…見つけた…見つけてくれた…」
「うん…」
だって、会いたかった
どんな形でもいいから、ジュンフィスにもう一度…
会いたかったんだもん