第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
まじまじと3人の顔を眺めて、そしてジュンフィスに視線を戻す。
ああ…帰ってきたんだ…
やっと俺の居場所に…
ジュンフィスが俺の手をぎゅっと握り返した。
「もう安心するが良い…なにも起こらぬ」
「でも…」
ニノシスが…生きてるうちは、また命を狙われる。
また現代に戻されてしまうかも知れない。
っていうか…
どうして俺は、ここに帰ってこられたんだろう?
「姉上の…ニノシスのことか…?」
「うん…それに、どうやって…どうやって俺をここに呼べたの?」
”あの場所に、会いに来てくれたから見つけられた”
さっきジュンフィスはそう言った。
「…姉上にできて、俺にできぬことはない!」
がばっとジュンフィスが体を起こした。
そして俺の肩を両手でガシッと掴むと、ものすごい近くまで顔を近づけてきた。
「えっ…?な、なにを?」
「だから…シャトシは知っておったのだろう?姉上が怪しげな呪術を遣うことを…」
「え…まあ…」
だって、そのせいで俺、ここに連れてこられたんだし…
「姉上にできて、俺にできぬ訳がない!」
「えええええ!?いや…そう、だろうけどさあ…」
俺の予想だと…
ジュンフィスを…
自分の夫を思うあまり、ニノシスの魂が現代で悪さをするようになったのかなって…