第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
ジュンフィスが、部屋の中央に置いてあるカウチで寛いでいた。
肘枕をついて、横になってる。
俺を見ると、微笑んだ。
「…綺麗になった…」
髪はちょっと伸びてたけど…
ここんとこ、あまり食べられてなかったから、痩せたかな…
それとも、現代に戻って少し太ったのかな。
あ、さっきドロドロだったから…?
よく、わからないや。
「あ、うん…」
マツーオカ将軍が立ち上がって、道を空けてくれた。
ダーオカは泣いちゃって、グズグズしてる。
ポンポンとダーオカの頭を撫でると、ジュンフィスの寛いでるカウチに近づいた。
部屋の中には、ぽつぽつと明かりが灯っていて。
薄暗いけど、みんなの顔は見渡せた。
ジュンフィスを見下ろすと、また微笑んで。
そっと俺をカウチに座らせた。
ジュンフィスのお腹により掛かるように座ると、そっと腰に手が…包み込むように回ってきて。
「もう、どこにも行かさないからな?」
「うん…」
久しぶりの濃い顔を見つめていたら、本当にほっとして…
ぎゅっと、お腹の方に回ってきた手を握りしめた。
暫くしたら、武官の格好をしたマサスが入ってきた。
マツーオカ将軍とマサスとダーオカに、無事に戻ったことを祝われた。
「おかえりなさい…ナイルの娘…」
「本当によくご無事で…」
「うおーーーーーー…」
号泣してるダーオカを、マサスとマツーオカ将軍はやれやれといった顔で眺めてた。