第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
思い切り、ジュンフィスの胸に飛び込んだ。
「俺もっ…会いたかったっ…」
ジュンフィスの首筋に顔を埋めると、花みたいないい匂い…
ああ…この匂いだ
ジュンフィスの匂いだっ…
そう思ったら、ぶわっと涙が勝手に溢れてきて。
「あいたかったよぉ…」
もうぐしゃぐしゃに泣いて。
「ああ…」
俺を力強く抱きしめてくれるジュンフィスの声も震えてる。
「顔をよく見せてくれ…」
ジュンフィスに言われて、身体を離して顔を見た。
「…酷い顔だな…」
泣きながら、笑われて。
涙でビショビショになってる頬を、優しく手のひらで包んでくれた。
砂と汗と涙で、顔がジャリッとしてる。
「ご…ごめん…」
「でも…会いに来てくれた…」
「え…?」
「あの場所に…会いに来てくれたから…見つけられたんだ…」
そう言うと、俺のこと抱き上げて立ち上がった。
「マサス!風呂の用意を!」
「はいいいっっ…」
神殿の柱の陰から、マサスが飛び出してきた。
「マサス…」
「ナイルの娘…よくお戻りで…」
こちらも顔をぐしゃぐしゃにして泣いてる。
「うん…」
俺…戻ってこれたんだ…
古代エジプトに…戻ってこれたんだ…!