第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
一瞬、目が眩むような真っ白な光が目の前に広がった。
「え…?」
身体が軽い。
砂に埋まったはずなのに…
痛みも感じない。
誰かが、俺のこと後ろから抱きしめてる。
そう感じることはできるんだけど…なにも見えない。
真っ白になった視界が戻ってくるのに、時間が掛かった。
「やっと…戻ったか…」
松本の声が聞こえた。
「まつ…もと…?」
「また、マツモトか。誰なんだソイツは」
「へ…?」
目がだんだん慣れてきた。
暗い中、松明の明かりが見える。
どうやら石畳の上に、誰かに抱きしめられて寝転がってる。
ここは…神殿…?
「恋人だったら許さんぞ」
ぐいっと顎を持たれて、上を向いた。
その視界に入ってきたのは、ジュンフィスだった。
「え…?ジュン…フィス…?」
「ああ…マツモトとやらじゃないぞ?」
長い髪がサラリと俺の顔に掛かった。
俺のこと、後ろから抱きしめているのは、ジュンフィスだった。
飛び起きて周りを見たら、そこは俺たちが婚儀を上げた神殿だった。
「ジュンフィス…」
振り向いたら、微笑んで…
そして両腕を大きく広げた。
「やっと見つけたぞ…手間を取らせおって…」
そして、ぽろりと涙をこぼした。
「会いたかった…シャトシ…」
「ジュンフィスっ…」