第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
コロン…と最後に一個、石が転がってきて。
崩落はどうやら収まったみたいだった。
横穴の中は、真っ暗になった。
遠くで人の声が聞こえるから、どうやら酸素は大丈夫のようだ。
音が聞こえるということは、空気が入ってきてる。
俺がここにいるのはわかっているから、後で救助が来るだろう。
「痛…」
少し足首を捻ってしまったようで、立ち上がると小さな痛みが走った。
横穴の天井は、俺一人なら立っていられるほどの高さには掘ってある。
手に持ってたヘルメットのライトをつけて、あたりを見回してみた。
「え…?」
掘っていた壁面が、崩れてる…!
「嘘…どうしよう…」
せっかくここまで掘り進めてきたのに…横穴まで崩落するなら、中止ってことになりかねない。
焦って壁面に近づくと、壁を触って確認してみた。
ポロポロと砂と小石まじりの壁が崩れてくる。
「どうしよう…どうしよう…」
壁の上の方に触れてみたら、ザアっと音を立てて、薄く壁面が崩れてきた。
「え…」
そこには、古代エジプト文字のヒエログリフが刻まれた壁
砂に埋もれてよく見えないけど…
「あ…」
墳墓の、入り口だった。