第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
それから数ヶ月。
慎重に慎重に横穴を掘り進めていった。
他にも横穴はあったんだけど、それは三宅さんに任せて。
俺はひたすらに、その横穴を掘り進めていった。
たまには休めって、櫻井教授に怒られるけど…
だんだん、現代の日常に馴染んできて、あの古代のことは遠い夢になりかけてたけども…
でも…それでも、諦めることができなかった。
「お~い!休憩!」
上の方から声が聞こえてくる。
「もう2時間経ったのか…早いな…」
後ろで相葉が呟いた。
他の横穴に入っていた三宅さんも顔を出した。
「あーあっついなあ…早く上行こうぜ~」
「はーい」
相葉と三宅さんが上に上っていくのを見て、俺も休憩に入ろうと頭のヘルメットを取った時…
カラリと小石が落ちる音が背後からした。
「え…?」
振り返ると、縦穴の砂の壁が崩落してくるところだった。
「嘘っ…!」
身体を避けようとしたけど、安全ブーツで石を踏んで思い切り後ろによろけてしまった。
「うわっ…」
ゴオッという轟音と、ものすごい風圧が襲ってきた。
横穴に身体を倒すように転がると、ものすごい音を立てて縦穴に続く出口が砂と石で塞がれた。
「へ…?」
閉じ込められた…