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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


慎重に、砂壁の縦穴を降りていく。
底に着いたら、いくつかある横穴のうち、俺が進めていた穴に入る。

「大野センセ…」
「ん…」
「やっぱ、無理しないで下さいよ」
「大丈夫だよ…」

そう笑ってみたけど…
少し、無理はしてる。

古代に居た間、栄養のある食事を十分には摂ってないから、多少体力が落ちていた。
少し立っているとふらつく。

でもそんなこと関係なく…

「ここを、掘らなきゃいけないんだ」

そう言うと、黙って松本は道具を出してくれた。

もう少し大きい現場だったら、現地の人を雇って大掛かりにするんだけど。
この現場は狭い上に、あまりいい感触じゃなかった。
だから研究室の人間だけでちょっとずつ掘っていた。

それでも…俺が居ない数ヶ月の間、横穴はだいぶ掘り進められていた。

「松本、頑張ったんだね」

そう言うと、少し嬉しそうに笑う。

「大野准教授が戻ってきたら、びっくりさせようぜって、相葉先生と言ってたんです」
「そっか…」


あれは、夢だったのかもしれない。

でも、俺が着ていた服は、後で見せてもらったら、あの婚儀のときのもので…

古代に戻る方法がわからない以上、ここを掘らないと…
ジュンフィスに会えない。


だから…

どうか、ジュンフィス…

長い眠りを破ってしまうのを、許してね…?



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