第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
どうしよう…
どうやったら古王国時代に戻れるんだろう。
俺、決めたのに…
「おーちゃん…?」
ジュンフィスと…ずっと一生、一緒にいるって…
決めたのに…
結婚したのに…
「ど、どうしたの…?おーちゃん…」
涙がボロボロと溢れてくる。
「どこか痛いの…?」
相葉がオロオロとしてるけど、涙は止まらなかった。
どうしたら…どうしたらいいんだろう
どうやったらジュンフィスの元に戻れるんだろう
「あ…」
そうだ…
あの横穴…ジュンフィスの墳墓…
あそこに行けば、会える
「ジュンフィスに会わなきゃ…」
ベッドを降りようとしたけど、相葉に捕まった。
「どこいくの!?」
「発掘現場…」
「そんなの後でいいから!とにかく、今は…身体が弱ってるから!ね!」
相葉と揉めてるうちに、医者や看護師が入ってきて取り押さえられた。
なにか注射みたいなのを打たれて、そのうち俺は眠ってしまったようだった。
それから、カイロの警察やら何やら色々来て…
諸々落ち着くまで3日ほど掛かった。
俺の家族も日本から来て、捜索に加わっていたらしく。
俺は随分長いこと、行方不明だったらしい。
面会に来て泣かれて、参った…
櫻井教授も、無事に戻ってきていた。
女とのいざこざで、どうにも動けなくなっていたそうだ。
海外に来てまで、なにしてんだ、あんた…
そして、ニノール…
そのいざこざの間も…
ニノシスが姿を現すことはなかった。