第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
気がついたら病院に居た。
真っ白の天井に、鉄パイプのベッド。
ここが現代なんだって、おぼろげにわかってきた頃、病室のドアからマサスが入ってきた。
「おーちゃん!大丈夫!?」
「え…?」
マサス…じゃない…
「相葉…」
「そうだよおお…もお、心配したよお…!」
泣きながら俺の手を握った。
「意識戻らないんだもん…やっと見つかったと思ったのに…」
その握られた手を見ていたら、やっと頭がはっきりしてきた。
「ニノシスは?」
「えっ…?」
「俺と一緒に居たでしょう?ニノシスは?」
「おーちゃん…?」
相葉が戸惑っているけど、起き上がって腕を掴んだ。
「ニノールだよっ!あいつ、居るだろ!?」
「ま、待って…ニノールなんて居なかったよ?」
「えっ…?」
「おーちゃん、一人でナイル川の岸辺で倒れてたの。しかもメンフィスだったんだよ!?」
メンフィス…イネブ・ヘジ…
「ニノールはおーちゃんが居なくなってからも、必死で探してくれてたんだよ?もしかして、ニノールが助けてくれたの?」
「ちがう…」
違う俺は…
「ニノールは…」
「それが昨日から姿が見えないんだ…どこいったんだろ?」