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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


ナイルのワニが、ワンピースの裾を噛んでいる。

「ええええっ…わ、ワニっ…」
「シャトシ!」

ジュンフィスが力任せに俺の腕を引っ張るけど、それ以上の力で引っ張られてて、石畳の縁から落ちそうになってる。

「いやあああっ…ジュンフィスっ…」
「シャトシっ…掴まれっ…」

ザッパーンと凄い水音がしたかと思ったら、ナイルのワニが立ち上がった。

「えっ…ええっ!?」

そこに居たのは…ワニの革を被ったニノシスだった。

「ニノシスっ…」
「ええっ…!?姉上!?」

ジュンフィスが驚いて身を乗り出した瞬間、足首を掴まれた。

「もう許さない…」

ぼそっと呟くのが聞こえたかと思うと、俺はナイル川に引きずり込まれた。

「ごぼおおおおおおおっっ…」

水の中は真っ暗で。
ニノシスが暴れたから濁っていて、全然見えない。

足首を掴まれてるのを、必死で蹴ってみてるけどもスカスカ水の中を蹴るだけだった。

水が沢山口の中に入ってきて。
もう息が苦しい。

どうしようもなく藻掻いてみたけど、足首を強い力で掴まれていて、水面に上がることもできない。

頭の上から、声が聞こえる──


シャトシっ…!




ジュンフィス…こないで…









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