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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~


女官がわらわらと入ってきて、どんどん俺に衣装を着付けていく。
豪華な装飾品は、エジプトの博物館や本でみたことのあるデザインで。
王妃しか身につけることのできないものだ。

あのギザや王家の谷で見つかったものと同じだ。
それを俺が、身につけるなんて…


この一ヶ月…本当は悩んだんだ。

だって、俺、男だし。
本当は神の娘とかじゃないし。

でもさ…
ジュンフィスが可愛いんだ。

子供みたいにキラキラした顔で、いろんなこと話すんだ。
婚儀が済んだら、国中を回ろうって。
王妃を見せびらかすんだって。
こんなに美しい王妃なんだぞって。
それからエジプト中の美味しいもの食べさせてやるってさ…

なんかもうさ…

その顔を見てたら、いいかな…って…

現代の俺、捨ててもいいかなって。
そう、思ったんだ。


儀式の行われる神殿まで、マサスが先導してくれる。

「それでは、行きましょうか…」

ダーオカは、部屋でぐしゃぐしゃに泣きながら見送ってくれた。
なんか花嫁の父の気分なのかなあ…
その顔をみて、ちょっと緊張がほぐれた。

外はもう暗くなっていて、廊下には明かりが灯されていた。

神殿に着くまでは、口をきいてはいけないということで、静かに歩を進めた。

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