第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「…男なら遠慮はいらないな…」
ぼそっとサクミル王子が呟いた。
「へ…?」
「シャトシも男なら、自分の身は守れるな?」
「え…でも、俺…」
ニノシスは現代では軍隊で訓練受けたって言ってた。
そんなのに勝てるわけないだろ!?
「む…無理だよおっ…」
「やかましいっ!男なら守らんからな!」
き、きちくうう~~~~~!
「死ねえっ…」
そんなこと言ってる間に、ニノシスがまた棍棒を振り下ろしてきた。
「うわあっ…」
慌ててまた、サクミル王子とは逆方向に身体を倒して逃げた。
ガツンっとすごい音を立てて、棍棒が床に激突した。
大理石のはずの床が、ちょっと欠けてる。
ぞっとした。
あんなので頭殴られたら、即死じゃんっ…
「っ…」
立ち上がって逃げようとしたけど、ワンピースの裾を踏んでコケてしまった。
「わああっ…」
床に伏せたまま見上げたら、ニノシスがこっちに向かって棍棒を振り下ろしてる瞬間だった。
「大野!おまえから死ねっ…」
もうだめだっ…
そう思って目を閉じたけど、衝撃は来なかった。
「…へ…?」
恐る恐る目を開けたら、ニノシスの動きが止まってた。