第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「い…いつ男になったのだ!?」
こんなときなのに、転がったまま、床に手を付いて聞いてくる。
俺もまだ体勢整ってないのに!
「最初から男だっ!!」
なんとか起き上がって、ニノシスに向き合う。
「じゃあなぜ女の格好をしておる!?」
「だーっ!うっさい!」
サクミル王子は天然なのかな。
今、そこ言ってる場合じゃないっつーの!
「待て…待て!ニノシスも男!?」
頭をかきむしりながら混乱している。
ほんと、天然だな!
「そんなこと言ってる場合じゃ…」
ぶんっとまた俺のほうに棍棒が降ってきた。
なんとか避けて、サクミル王子の方に逃げることができた。
「その身のこなし…男…なのか…?」
「もおっ!男だよ!俺は!ニノシスも!」
「本当なのか…本当に…?」
まだ信じられないと、呆然としている。
のんびりさん過ぎるだろっ!
「ジュンフィスがそう言ってた!」
「ちょ…どうなってんだよ…」
「俺が聞きたいよっ…」
ニノシスは、ゆらりと一歩踏み出した。
「ふん…そこまで知られたら…おまえも生きてアッカドに帰すわけにはいかない…」
「なんだと…?」
「あの邪魔な妹も殺してやる…」