第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
翔ちゃんのこと手に入れたかったら、身体を奪え
あいつらは、そう言った
その言葉の、衝撃の大きさと甘美さに身体が震えた。
「できるわけない…」
「和也…」
「そんなことしたらっ…本当に翔ちゃんは俺たちのこと…」
嫌われる。
永遠に失ってしまう。
そんなことできるわけがない。
「でも…」
「だめだよ…智っ…」
「あいつらがなんの根拠もなく、あんなこと言うか…?」
「え…?」
「”あの二人はそれを一度乗り越えたんだから…”、”できるはずだ”……」
それは、あの探偵さんの撮ってきた音声データの潤のセリフ。
「翔くんは、これを頷きながら聞いてる…もしかして、和也…」
「智…?」
目が、きらめくように光った。
突然すごい力で引き寄せられると、きつく抱きしめられた。
「翔くんは…奪われるのを、待ってる…?」
甘い、甘い…
それは、南国の果物みたいに甘い誘惑…
「あっ…」
強引に智が俺の腕を引いた。
そのまま、カウンターにうつ伏せに身体を押し付けられる。
「和也…」
俺のジーパンを智が無理やり刷り下げる。
「智!?」
「できる…俺たちは…」
そこに熱い智の塊が押し付けられた。