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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


「…どういうこと……?」

雅紀はふっと目を逸らした。
そのまま俺から離れると、入り口のカーテンの前に立った。

「俺達にできることはないけど…でも…」

ぐっと口を引き結ぶと、俺を振り返った。

「翔ちゃんを手に入れたかったら…奪え」
「え…?」
「強引にでも、手に入れろ」
「何を…」
「いいか。そうしないと、失うからな」
「雅紀…?」

さらりと髪をかきあげると、そのまま背中を向けた。

「心が欲しかったら…身体を奪っちまえ…」
「え?」
「じゃあな」

カーテンを開けると、ガラス戸を開けて雅紀は出ていった。

「なに…言ってんの…」

しばらく動けなかった。

なんであんなこと言い出したのか…
ぐるぐる考えていたら、ガラス戸が開く音がした。
カーテンを見つめていたら、智が店内に入ってきた。

「和也…」

智の表情が暗い。

「智……?」
「和也…」

入り口に立ち尽くす智に駆け寄った。

「智…」
「和也…潤が…」
「うん…」

智の身体が震えてる。

「奪えって…」
「え…?」
「翔くんを…奪えって…」

真っ青な顔の智の目には、怯えが浮かんでる。

「じゃないと…永遠に翔ちゃんは…あのままだって…」

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