第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「む…無理だよおっ!」
あんなもの、入るかっ…
慌てて自分のお尻を押さえて、ジュンフィスから身体を離した。
「なにが無理なのだ。大丈夫だ。サクミルだってあのように…」
「や、やだよっ…俺はっ…」
ホモじゃないっ…
ホモじゃないのに…でも、なんでジュンフィスを可愛いって…
好きだって思うんだろう…
「…シャトシ…?どうしたのだ…?」
「もお…わかんないっ…」
蚊帳の薄い布を掴んで、勢いよく捲くりあげた。
そのまま服を掴んで外に出ると、走り出した。
「ま、待て!シャトシ!」
ジュンフィスの声が聞こえたけど、無視して走った。
部屋の中にいるときはわからなかったけど、もう外は薄暗くなっていて、夕方になってたみたい。
ジュンフィスが追いかけて来ないのを確認して、途中で服を頭から被って着た。
ビーサンみたいな皮のサンダルは忘れちゃったからしょうがない。
トボトボと、裸足のまま歩き出した。
ペタペタと大理石の床に音が響く。
「俺はホモじゃないっ…ホモじゃ…」
でも…ジュンフィスは好きだ。
どうして…?
どうしてなんだろう…
「…うわっ…」
もうすぐ自分の部屋というところで、なにかに躓いて、コケてしまった。
薄暗いから、最初なにに躓いたかわからなかった。
「な、なに…?」