第7章 大野の紋章~考古学者大野智の憂鬱~
「大丈夫だっ」
「へ…?」
「おまえはただ、俺の側に居ればいい」
そう言って、俺の唇に触れた。
「おまえが母なるナイルの娘なら、俺は太陽神ラーの子…」
「ジュンフィス…」
違うのに…俺はただの考古学者なのに…
「我らが結ばれれば、我がエジプトは最強になる…」
「で、でも…」
「俺の妻になれ、シャトシ」
また…
とっても不安げな目で俺を見る。
「俺の側から離れるな」
子供みたいに…必死に。
「うん…わかった…」
途端に、ぱあっと花が咲いたように笑顔が零れた。
俺…
なんてこと言ってしまったんだ!?
「よおしっ…次の満月の夜!婚儀だっ…!」
「まっ…待って!あのっ…」
飛び上がるほど喜んでるジュンフィスは、俺の話なんて聞いてくれない。
か…可愛いじゃねえか!こんちくしょう!
「そなたには豪華な衣装を作ろう。エジプトの王妃になるんだからな!」
キラキラ輝いた顔で言われると、もうどうでもよくなってくる。
いや、良くないんだけどさあ…
「それまでここは取っておいてやろう…」
そういって俺のむき出しのおケツをさらっと撫でた。
「にゃっ…!?」
あ…そっか…!
男同士って、ここ使うのか!